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68歳男性が、発熱、陰部の痛み、排尿困難、頻尿、間欠的に痛みが激しくなる症状が、昨日から始まった。
症状は、ルーチンのスクリーニングで PSA が上昇していたために、前立腺の生検を行った後、48時間経過して始まった。
身体所見は、体温38.7℃、血圧は145/82、脈拍は105、呼吸数は正常である。
前立腺は肥大していて、軟らかいそしてやさしくさわると痛みがある。
尿道からは、排膿はなく、陰嚢に圧痛はない。
尿グラム染色ではGNRが認められた。尿培の結果は、まだ出ていない。
次のうち最も適切な治療は何か
a アモキシシリン
b セフトリアキソンとドキシサイクリン
c セファレキシン
d ST 合剤
正解は D
Key Point
急性細菌性前立腺炎の最も頻度が高い原因は、大腸菌または他のグラム陰性桿菌である。治療は、長期間 ST 合剤またはシプロフロキサシンを使用する。
患者の病歴と身体所見から急性細菌性前立腺炎が考えられる。最も適切な治療は ST 合剤の内服である。
リスクファクターは糖尿病、免疫抑制患者、肝硬変患者。その他避妊していない性行為、尿道カテーテル留置、間欠導尿、前立腺生検、前立腺肥大などである。
最も頻度が高い。原因菌は大腸菌または他のグラム陰性桿菌である。
診断は、尿のグラム染色と培養で行われる。
治療は長期間の ST 合剤またはシプロフロキサシンを内服する。
治療期間に関しては十分なエビデンスはないが、6週間の治療が推奨されている。
コメント
急性細菌性前立腺炎は、男性の尿路感染症でよく鑑別にあがる疾患ですが、日常診療では、なかなか出会う機会がないなという印象があります。 診断がついた場合には、6週間の抗菌薬治療となるため、ST 合剤やシプロフロキサシンでは、電解質異常やQT延長などの副作用が懸念されますね。
尿道カテーテルが留置されている患者さんや間欠導尿を行っている患者さんでは、感染を起こした時には常に鑑別を考える必要がある。