山内診療所 てるてる農場

"長崎県五島列島にある山内診療所”で医師として地域医療に携わりながら、 茅葺屋根の家に住み、牛で田んぼを耕し、ニホンミツバチ・対州馬を飼育して いる。

MKSAP 18 General Internal Medicine Item:137

improvement modelという内容のもないですが、日本の内科専門医試験には出なさそうなもないです。しかし、アメリカや、ヨーロッパだけでなく、日本でも大事な考え方だと思います。これから日本の医療の質を改善させるためにはこのな考え方を取りそう導入する必要があると考えます

 

Item:137

入院期間の延長に関する、病院システムのコスト分析では術後の創部感染が最もがコストの割合を占めていた。

手術のデータを解析すると、術後の創部感染率は19%であった。

 

この病院で術後の創部感染を減らすための最も適切な方法はどれか。

A clinical audit 診療監査

B control chartの 管理図

C リーン生産方式

D improvement model 改善モデル

 

答え D

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improvement model 改善モデル

1)目的を決める 
 目的に達成期限,測定可能な達成目標およびターゲットとする集団を入れます(例:3か月後までにICU入室患者のカテーテル関連血流感染率を0%にする)。

2)チームをつくる 
 <組織の管理者> 
 組織内での施策を実行する許可を与え,時間やリソースを割り当ててくれる人です。

<臨床的アドバイスをくれる専門家> 
 施策がエビデンスに基づいているかどうか,臨床的に妥当なものかどうか相談できる人です。

<現場の責任者> 
 日々の施策実行に責任を持ち,管理してくれる人です。

3)測定項目を決める 
 質の向上が達成できているかどうかを知るためには,測定項目を決めなければなりません。それには,次の3つの指標が必要です。

<アウトカム指標> 
 1)の目的に入れた指標です(例:カテーテル関連血流感染率)。

<プロセス指標> 
 アウトカムを達成するためのプロセスを遂行できたかの指標です。2―4つ設定します(例:カテーテル挿入時のマキシマルバリアプリコーション施行率)。

<バランシング指標> 
 目的を達成しようとすることにより起こり得る不都合な事象についての指標です。1つあるいは2つ設定します(例:人工呼吸器装着日数を短縮させようとした施策の再挿管率)。

 上記の3つ全てを設定するのが現実的でない場合,プロセス指標の改善を目的とすることもあります。ただしそのときは,プロセス指標の改善がアウトカムの改善につながる蓋然性が十分に吟味されていなくてはなりません。なお,質向上は新しい知見を得るための医学研究とは目的が異なりますので,バイアスの調整のために患者背景まで測定する必要はありません。

4)施策を決める 
 上記の3つの指標を使い,目的を達成するために必要な施策を具体的に決めます(例:チェックリストを利用する)。

5)施策をテストする 
 施策を決めたら,それを狭い範囲でテストしてみます。ここでPDCAサイクルを回します。目的を再確認し,結果を予測し計画(Plan)を立てます。そして,計画を実行(Do)し,あらかじめ決めていた指標をデータとして集計します。問題が生じた場合は,それも記録します。次に集計結果を評価(Check)し,予測していた結果と比較し,わかったことをまとめます。最後に,そのわかったことを基に計画を見直し,改善(Act)を行い,次のPDCAサイクルの計画を立てます。このサイクルを何回か繰り返し,条件の違う環境でも同じ効果が得られるかどうか確認します。

6)施策を実行する 
 何回かのテストを経た後,本番の施策を実行します。テストと違うのは,持続的な効果を維持するためのシステムを構築することが目的に加わるところです。

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03145_04より引用