予防医療は、病気の早期発見・治療のために、最も必要
予防医療は非常に重要である。例えば、生活習慣病である高血圧や糖尿病を早期発見し治療することで、脳梗塞や、脳出血、糖尿病による透析の必要性を予防することができる。 また癌検診を行うことで、胃癌・大腸癌など早期発見により治癒が見込める。
米国では外来で、予防医療に多くの時間を割くべきと考えられており、予防医療を行っていることが、そのクリニックの評価となる。
日本では、多くの開業医が専門分野以外のトレーニングを受けておらず、総合的に診療できる医師が少なく、予防医療に意識が少ない
(例えば、呼吸器専門医であれば肺疾患に関しては治療ができるものの、それ以外の消化器や循環器疾患の知識を有していない。)
そもそも予防医療とは「病気を防ぎ、最大限の機能を維持し、健康増進するためのプログラムである。すべての医療機関において、医療の中心をなす」とされている。
クリニックや診療所などの外来では、多くの時間を予防医療に費やすべきである。
多くの場合、同じ処方の繰り返しになるので他にやるべきことは予防以外にないのだ!
USPSTEF (米国予防医学作成部会)で推奨されている予防医療についてまとめてみた。
肺がん
55−80歳に30pack/年 (1日1箱×30年/1日2箱×15年など)、かつ15年以内に喫煙歴がある者に対して、毎年の低線量CTによる肺癌スクリーニングを推奨する。
肺癌死亡率:男性1位 女性2位
リスク因子:喫煙と年齢(日本の喫煙率 男性30% 女性10%)
胸部レントゲンは死亡率低下がない⁉️
低線量CTでは、23%で偽陽性 3.5%で過剰な手術になる危険性がある‼️
子宮頸癌
21−65歳の女性は3年毎に細胞診 または、30−65歳の女性は5年ごとにHPV検査±細胞診を推奨する。
21歳以下 65歳以上(推奨されない)
子宮摘出の既往があり、高分化の前癌病変(CIN2-3)や子宮頸癌がない場合(推奨されない)
子宮頸癌罹患率を60−90%低下
子宮頸癌死亡率を20−60%低下
乳癌
50−74歳の女性には2年毎のマンモグラフィーを推奨
50歳未満のマンモグラフィーは個別に推奨
日本の場合は、40歳以上から推奨
希望者は40−49歳で2年おきのマンモグラフィーを考慮しても良いが、偽陽性や過剰診断になるリスクがある。
血族に乳癌患者がいれば、40歳前半からのマンモグラフィーが有益かもしれない
マンモグラフィーの感度は77−95% 特異度は94−97%
スクリーニングで、25%程度の乳癌死亡率低下につながる。
しかし、10年間で19%の過剰診断につながる
米国の50歳女性1000人を2年毎に検診したら、10年間で1人の乳癌死亡を防げる
大腸癌
50−75歳でスクリーニングを開始する(強く推奨)
便潜血:毎年 大腸内視鏡:10年毎 CT colonography:5年毎
便DNA検査(1−3年)、S状結腸内視鏡(5年)
2年に1回の便潜血検査で、大腸癌死亡率が15%低下
1親等で1人60歳未満、または年齢に関わらず2人の大腸癌・高度異形成腺腫の家族歴がある場合、40歳または親族の診断時の10歳若い時期から大腸内視鏡に夜5年毎のスクリーニングを行う。
家族歴があれば、早めに開始
前立腺癌
55〜69歳:PSA検査
70歳以上:PSA検査(行わないことを推奨)
高齢でPSA検査をすると、QOLの低下、過剰診断、治療による合併症など害の方が大きい
1410人をスクリーニング:48人治療して1人助かる
1人の前立腺癌による死亡を予防する費用は約5億円
PSAのカットオフ値:4ng/ml以上
胃癌
胃バリウム検査:50歳以上/毎年
胃内視鏡:50歳以上/2年毎
胃癌死亡率減少の割合
胃バリウム:40−50%
胃カメラ:30−57%