山内診療所 てるてる農場

"長崎県五島列島にある山内診療所”で医師として地域医療に携わりながら、 茅葺屋根の家に住み、牛で田んぼを耕し、ニホンミツバチ・対州馬を飼育して いる。

MKSAP脳神経 79

脳神経 79
68歳女性が1年間の頸部硬直と鈍い頸部の痛みを主訴に来院された。職場のヘアサロンでの仕事の間に細かい動きの難しさを自覚している。内服はイブプロフェンを必要時に内服している。身体所見とバイタルサインは正常。頸部の可動域は痛みと硬直で制限されている。
細かい指の動きは微妙に遅くなっている。足底反射をふくめた腱反射は正常。筋力低下や歩行は正常。頸椎のMRIでは多くのレベルの頸椎で狭窄を認めた。C4/5C6/7で最も悪かった。脊髄のゆがみはあったが脊髄の信号の変化はなかった。
 
次のマネージメントとして適切なものはどれか?
正解、
Key point;
慢性頸椎狭窄症の患者に対しては理学療法や疼痛管理のような保存的治療で効果がある。
神経画像上で急性の脊椎圧迫が疑われたら、緊急で評価するべき。不可逆的で深刻な神経障害を防ぐために即時の治療が必要。
変性脊椎疾患のために慢性の脊椎狭窄がある患者は多く、慢性の脊髄障害症状を認める。
多数のレベルでの椎間板疾患のために慢性の脊椎狭窄症状がある。
進行性の下肢の虚弱や痙縮、遠位のしびれ、延髄障害のような検査で脊髄症の症状があれば外科的な介入が必要になる。
 
ガバペンチン;GABA誘導体の抗てんかん薬である。日本では商品名ガバペンで抗てんかん薬、レグナイトでむずむず脚症候群の治療薬。
神経痛の患者に使用する。今回の患者は熱感や電気的、凍傷のような神経痛がないために使用しない。
 
頸椎カラーで頸部を固定する;頸椎カラーは外傷、手術、骨折、脱臼の後脊椎の固定のために使用する。臨床診察や画像上で本物の頸椎圧迫や脊髄の不安定性がないと過度なものとなる。
 
神経外科的な介入;脊髄狭窄の患者も最終的には神経外科的な介入が必要となるが、多数のレベルでの変性椎間板疾患の結果がだんだんと悪化する。外科的な介入は保存治療をおこなった後になる。はっきりとした脊髄圧迫が見られず、MRIでの信号の変化もなかったために緊急手術は必要ないと考えられる。