中国から新コロナウイルス感染症のアウトブレイクが起こる、日本や韓国、ヨーロッパなど各地に広がっている。
WHOから、緊急非常事態宣言が出され、ますます感染が拡大する傾向にある。
そもそもコロナウイルス感染症は、日常でありふれた感染症であり、かぜ症候群の原因の一つとされている。
今回、コロナウイルス感染症に関する一般的な知識に関してまとめてみた。
病因
コロナウイルスは多型性の一本鎖RNAにウイルスでコロナウイルスという名前はウイルスのエンベロープに棍棒状の突起が並ぶ王冠様の形からきている。
コロナウイルスは広く多様な動物に感染し、3つのグループに分けれる。
SARSとして知られる極めて特異なコロナウイルスは、2002年から2003年に中国南部から始まり、最終的にアジア、ヨーロッパ、北部、南米など28カ国で8096例が確認された。90%の症例は中国と香港で発生した。
SARSコロナウイルスは当初は新規のグループであると思われたが、現在では血清group2の一部と考えられている。
しかし、恐ろしいことに、SARSコロナウイルスの遺伝子解析で、ほかのコロナウイルスとわずかな相違しかないことが示されている。
つまり、以前のコロナウイルスとほとんど同じなのに、あんなに死亡者が出たということです・・・・・恐ろしい!!!!
疫学
コロナウイルスには幼少期から感染することが多く、成人の80%以上がコロナウイルスに対する抗体をもつことが示されている。
季節によるが全体的にはかぜ症候群の原因の10〜35%ほどがコロナウイルスとによるものとされる。
特にライノウイルス感染症があまり見られない秋冬そして春にコロナウイルス感染症が多いようである。
SARSコロナウイルスの自然宿主はキクガシラコウモリと考えられた、
アウトブレイクは半家畜化したジャコウネコなどと人との接触から始まった可能性がある。
ジャコウネコ
SARSは、多くは人から人への伝播し感染した。
致命率はそれぞれのアウトブレイクで異なるが、全体的には約9.5%であった。
この疾患は小児には明らかに重症にならなかった。アウトブレイクは2003年に終結した。
SARSの感染拡大機序は完全には理解されていない。
感染拡大はエアロゾルとおそらく糞口感染もあることが示されている。
病原性
かぜ症候群を起こすコロナウイルスは鼻咽頭の線毛上皮細胞に感染する。
ウイルス複製により線毛上皮細胞は障害され、かぜ症状を起こす。
SARSコロナウイルスは気道細胞に感染する。その結果、全身症状をきたし、血中、尿、そしてふん便にウイルスが検出される。
ウイルスは気道に2〜3週間持続感染し、全身症状が生じて10日後に、最も増加する。
臨床症状
SARSは通常一般的に、2〜7日の潜伏期間の後、頻繁倦怠感や、頭痛、筋肉痛を伴う発熱を特徴とする全身症状で始まり、1〜2日のうちに乾性咳嗽と呼吸困難が続く。
25%の患者で下痢を認める。胸部X線写真では様々な浸潤影を認める。
重篤な症例では、ARDSに進行することもある。
重症化の危険因子は50歳以上、心血管疾患、糖尿病、肝炎などである。
妊婦の症状は特に重症と見られるが、小児のSARSコロナウイルス感染症は成人に比べ軽度なようである。
なぜ子供は軽症なことが多いのかわからない
ヒトコロナウイルスによる風邪症状の臨床像は、ライノウイルスによるものと同様である。コロナウイルスによる風邪症状の潜伏期間は約3日で罹患病期間はやや短く平均6〜7日間である。
検査所見と診断
SARSでの検索所見異常では約50%の症例にリンパ球減少が見られている。
コロナウイルスのかぜ症候群の診断はほぼ不要である。
治療
SARSに有効性が証明された治療法はない。リバビリンがしばしば用いられるが、その効果はわずかであり、臨床経過に有効性は示されていない。その他ステロイドも広く使われているが、どんな有効性も同様に確立されていない。支持療法が治療の中心である。
予防
SARSは医療機関で医療従事者への感染があったことから、空気感染、飛沫感染、接触感染に関する厳格な対策を行うことが必須である。
SARS患者がいる可能性がある場所に立ち入る医療従事者はガウン、グローブ、眼および呼吸器補助具を装着すべきである。