64歳女性が4時間前から続く急性の鋭い左蹴りような胸背部痛を主訴に救急外来を受診した。
既往歴は、脂質異常症でアトルバスタチンを内服している。
身体所見では体温36.8℃、血圧173/90mmHg、心拍数90/min 血圧の左右差はなく、その他身体所見に異常はない。
CT angiography で最大径6.8cm の胸部下行大動脈瘤と大動脈解離はちょうど左鎖骨窩動脈から、横隔膜直下まで進展している。腎動脈を巻き込んでいない。
最も適切な初期治療は皮下のどれか
A 大動脈ステント留置
B 開腹し大動脈修復術行う。
C 内服治療
D12時間後に CT angiography を再検査
答 C
Key Point
合併症がない type B の大動脈解離の場合には、まず最初に内科的治療を行う。
βブロッカーやニトロやオピオイドを使用する。
βブロッカーが first line の治療となり、もし血圧が高い場合にはニトロ追加する。ガイドラインでは1時間以内に収縮期血圧を120以下にすることが推奨されている。また痛みがある場合にはオピオイドで疼痛管理行う。
A型大動脈解離
痛みが持続する場合
急激に大動脈瘤が拡大する場合
大動脈破裂
臓器還流障害(malperfusion syndrome)の存在は緊急手術の適応とされる
一般的に急性大動脈解離の20~40%に解離に関連する臓器および四肢の還流障害
(malperfusion syndrome)が合併するとされている。
このうち,冠動脈は5~10%,弓分枝動脈は30~40%,腹部分枝動脈は30%,下肢動脈は30%前後を占めるとされている。