リンゴ病?
◆どんな病気?
リンゴ病は、パルボウイルスB19というウイルスに感染することで発症します。
飛沫感染(せきやくしゃみで飛んだしぶきを吸い込むこと)で広がり、家庭や学校などで流行します。まれに妊婦から胎児に感染したり、輸血でうつることもあります。
日本では昔から「リンゴ病(りんご病)」「ほっぺ病」と呼ばれてきました。これは両頬がりんごのように真っ赤になる典型的な症状があるからです。

◆なぜ最近また流行しているの?
新型コロナウイルス流行時はマスクや手洗いが徹底されていたため、他の感染症もあまり流行しませんでした。そのため数年間パルボウイルスB19の流行が見られず、感染したことがない人(感受性者)が増えてしまいました。
その結果、ここ数年は国内外で大きな流行が再び見られています。
◆症状の特徴
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子ども
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初めはかぜのような症状(頭痛、鼻水、軽い熱)が出ます。
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1週間ほどしてから両ほほが赤くなり(リンゴのような紅斑)、続いて腕や足に網目模様の発疹が広がります。背中やお腹にも出ることがあります。
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発疹が出るころには感染力はほとんどなくなります。
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予後(経過)はよく、多くは数日で自然に治ります。
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思春期・大人
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子どもと違い、頬の発疹が出ないことも多く診断が難しいです。
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発熱や手足の関節痛、関節炎のような症状がよく見られます。
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皮疹は目立たないか、出ても軽いことがあります。
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妊婦
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妊娠初期に感染すると、胎児に感染して「胎児水腫(むくみが全身にたまる状態)」や流産の原因となることがあります。
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感染が疑われた場合は胎児の超音波検査などで注意深く観察が必要です。
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免疫不全の人・溶血性貧血の人
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骨髄で赤血球をつくる働きが一時的に止まってしまうため、「aplastic crisis(赤血球が急に作れなくなる発作)」を起こすことがあります。
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特に遺伝性球状赤血球症や鎌状赤血球症といった基礎疾患がある子どもは、急激に貧血が進み、ショック状態になることもあります。
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◆診断
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多くは症状や流行状況から臨床診断されます。
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確定したい場合は、血液検査でパルボウイルスB19に対するIgM抗体を調べます。
◆治療
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特効薬はありません。
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ほとんどは自然に治るため、自宅で安静にして経過をみます。
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発熱や関節痛がつらければ、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDs)を使用します。
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重症化した場合(aplastic crisisなど)は入院して輸血や全身管理が必要になります。
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免疫不全で慢性的に貧血が続く場合は、免疫グロブリン療法が検討されることもあります。
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◆予防
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パルボウイルスB19にはワクチンや予防薬はありません。
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感染を完全に防ぐのは難しいですが、流行時には以下が重要です:
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石けんを使った流水での手洗い
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咳エチケット(マスクやティッシュで口を覆うなど)
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学校などで流行しているときは、妊婦は子どもが集まる場所をなるべく避ける
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ウイルスは「アルコール消毒に強い」ため、物理的に清掃することが大切です。
◆学校や出席停止について
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学校保健安全法では、出席停止の対象疾患には入っていません。
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発疹があっても元気であれば登校可能です。
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なぜなら、発疹が出るころにはすでに感染力がなくなっているからです。
◆どんなときに注意が必要?
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子どもの場合:ふつうは軽症で自然に治るが、基礎に貧血の病気がある場合は急変に注意。
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妊婦の場合:胎児への影響があるため、流行期は特に注意。
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免疫不全の人:慢性的な感染や重症化につながることがある。
◆まとめ
リンゴ病は、子どもを中心に広がるウイルス感染症です。ほとんどの場合は軽く済み、数日で自然に治りますが、妊婦や免疫不全の人、溶血性貧血のある人では重症化する可能性があります。
現在はワクチンがなく、発疹が出るころには感染力が消えてしまうため、感染を完全に防ぐのは難しい病気です。流行期には手洗いや咳エチケットを徹底し、特に妊婦さんは人混みを避けるなど注意が必要です。
「頬が真っ赤になり、腕や足に網目状の発疹が出る」という特徴的な症状を知っておくと、早く気づくことができます。子どもは多くが自然に回復しますが、重症化のリスクがある人では、医療機関での速やかな診断と対応が大切です。