山内診療所 てるてる農場

"長崎県五島列島にある山内診療所”で医師として地域医療に携わりながら、 茅葺屋根の家に住み、牛で田んぼを耕し、ニホンミツバチ・対州馬を飼育して いる。

MKSAP Questions10: Neurology

47歳の女性

過去4日間に3回発生した6〜8時間持続する突然の激しい頭痛があり救急外来を受診した。

痛みは自発的に発生し、10秒以内に最大強度に達し、頭部全体が痛く、ズキズキしている。

彼女は、吐き気と羞明があり、精神、視覚、感覚、または運動機能に異常はない。

最初の2つのエピソードはシャワーを浴びている間に発生し、3番目のエピソードは2時間前の夕食の席で発生した。

患者には不安がありますが、頭痛の既往歴や家族歴はない。

彼女は不安のために1ヶ月前にセルトラリン(SSRI)を服用し始めたが、頭痛の発症後にそれを中止した。

身体検査では、体温は37.8°C、血圧は130/80 mm Hg、脈拍数は72 /分。

神経学的所見などの身体検査所見は正常で、頭部CTと腰椎穿刺の結果も正常であった。

 
最も適切なマネージメントは? 
A Digital subtraction angiography(デジタルサブストラクション血管造影)
B Magnetic resonance angiography of the brain(MRA)
C Methylprednisolone sodium succinate(メチルプレドニゾロン
D Sumatriptan(トリプタン製剤)
E Valproic acid(バルプロ酸®︎)
 
47歳女性の初発の激しい頭痛 CTなどでは異常がないが・・・腰椎穿刺はくも膜下出血の除外をしたかったのかな? しかし、この病歴だけで片頭痛と決めつけるのはないでしょう😨 まずはMRAで評価したいかな
答えは、B
 
Keypoint‼️
可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction:RCVS)の診断には、CTAやMRAが有用である。雷鳴頭痛の2番目に多い原因である。
 

Reversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)

20-50歳の女性が突然の(数秒から数分の期間で始まる)激しい頭痛を認め、1-3週間持続する。吐き気や嘔吐を伴うこともあり、攣縮を起こした脳動脈の灌流域に見合う視覚異常や片麻痺、構音障害、失語、失調等の症状を伴う。

この疾患は、1988年Callら により初めて報告された。

明確な診断基準はないものの、くも膜下出血などの除外を行うことが前提である。

そして

1)CTA/MRA等で脳動脈に多焦点性に部分的攣縮が認められる。

2)脳動脈瘤によるくも膜下出血ではない。

3)髄液所見が(ほぼ)正常である。(タンパク<80mg/dl, 細胞数<10mm3,糖正常レベル)

4)急性の強い頭痛

5)発症から3ヶ月以内に血管撮影の異常所見が改善する

1〜5の基準を満たせば診断できると考えられている。

 

特徴的な雷鳴頭痛がある場合が、95%であるが、雷鳴頭痛がないこともある。

 

片頭痛のような嘔吐や視覚過敏などもあり、50%で片頭痛の既往もあるため、片頭痛患者でも疑わしい場合はMRAなどを行う。

 

 

約60%に誘因が指摘できる

血管拡張薬(スマトリプタン、コカイン、抗うつ薬など)

運動、バルサルバ手技、感情、シャワー、入浴など

 

治療

確立された治療方法はない

症状の強い症例に対してはカルシウム拮抗薬が考慮される。