山内診療所 てるてる農場

"長崎県五島列島にある山内診療所”で医師として地域医療に携わりながら、 茅葺屋根の家に住み、牛で田んぼを耕し、ニホンミツバチ・対州馬を飼育して いる。

MKSAP Questions11: Neurology

39歳の女性

3日前からの不安となり、転倒しめまいを自覚したために救急外来を受診した。

彼女は、多発性硬化症と5年前に診断され、それ以来インターフェロンベータ-1aで治療されている。 また、神経障害性疼痛のためにガバペンチンを服用している。

身体検査では、温度は37.3°C、他のバイタルサインは正常。

左側に核間性眼筋麻痺が見られ、すくみ足、タンデム歩行ができず、ロンベルグ試験中に目を開けてもバランスが保てない。

 

最も適切なすぐにやるべき治療は?

A)高用量ステロイド

B)低用量ステロイド

C)血漿交換

D)ビタミンD

 

これは、多発性硬化症の治療中に神経症状が出現しており再燃ですね😁

再燃時の治療はどれなのかという問題

答えは、A

Keypoint‼️

多発性硬化症の再燃時の治療は、高用量ステロイド

Optic Neuritis Treatment Trialで、高用量ステロイド(1g/d for 5days)、低用量ステロイド(amg/kg/d for 5days)、プラセボで比較検討した試験で、高用量ステロイドが最も有効であった。

 

多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)

中枢神経の髄鞘が破壊されていく慢性炎症性脱髄疾患で時間的・空間的に多発することがポイント 臨床症状では、手足のしびれ、筋力低下、かすみ目などの症状を来す。

治療として、初発時や再発時にはステロイドパルスを、症状が改善しない場合は血液浄化療法も検討する。ステロイドパルス治療終了後は、ステロイド経口投与に切り替え、漸減し中止する。その後、症状が落ち着いた後は、再発予防や進行防止のために、インターフェロンβ、グラチラマーアセテート、フィンゴリモド、ナダリズマブ、フマル酸ジメチルを投与する。