Item3
49歳男性
右膝人工関節置換術前
他に既往歴や薬剤歴なし
身体所見:バイタルサイン正常
右膝は骨肥厚あり、受動運動で摩擦音(crepitus) がある
低分子ヘパリン+間欠的空気圧迫法が入院時から行われている。
低分子ヘパリンで肺塞栓やDVT予防はいつまで継続すべきか?
A)10日間
B)14日間
C)35日間
D)完全に動けるようになるまで
E)入院期間中
答え:35日間
出血リスクがない整形外科手術を行う患者では、術後は、低分子ヘパリン+間欠的空気圧迫法を入院期間中に行う。低分子ヘパリンは、35日間は継続させる。
整形外科領域:人工骨頭置換、膝人工関節置換、頚部骨折はDVTの高リスク
ACCPガイドラインでは、低分子ヘパリン+間欠的空気圧迫法を入院中は推奨
どの抗凝固療法よりも低分子ヘパリンが推奨されている
しかも、14日間よりも35日間継続した方が、VTEのリスクを下げるという、RCT・システマティックレビュー・メタ解析がある。
もし患者が低分子ヘパリンを拒否した場合は、DOACやワーファリンでも代用は可能
出血リスクが高い場合は、間欠的空気圧迫法は行う。
1) 入院中は低分子ヘパリンで 10 日間または退院まで予防した股関節・膝関節手術患者おいて、退院後に症候性 VTE 発症したとの報告がある。
2) 股関節骨折患者に術後フォンダパリヌクス(2.5mg)を 1 週間と 3 週間投薬し、VTE および症候性 VTE の発生率は 3 週間群に有意に低率であった。
3) 低分子ヘパリンで術後 7〜14 日間予防した整形外科手術患者において、術後 3-6 週間での症候性 VTE や致死的 PE 発症は稀である。(EV level II)
症候性 VTE は股関節骨折手術後 では中央値 17 日で PE を、24 日で DVT を発症。
VTE の累積リスクは、股関節骨折手術後 の 3 ヵ月間継続した。
VTE 発症例の 70%は退院後に診断された。入院中の血栓予防にも かかわらず、臨床的 VTE の大部分は、退院後に起こる。