大腸内視鏡検査の際に ポリープ を見つけた場合に、切除する方法として、 コールドスネア ポリペクトミー(以下 CSP ) というものがある。
このCSPは、後出血が非常に少なく、かつ治療時間の短縮に繋がり、効率的に短時間に沢山の ポリープ を切除する方法としては、非常に有効な方法である。
今回この コールド スネア ポリペクトミーについて勉強してみた。
そもそも、大腸ポリープは切除した方がいいのですか?
大腸内視鏡検査で発見される、ポリープの大半は大きさ5ミリ以下のいわいる、微小ポリプであり、欧米のデータではそのおよそ半分が微小ポリープといわれており、微小ポリープ0.1%以下に浸潤癌が発見される。
つまり、微小ポリープは、ほぼ良性のポリープである。
アメリカでは、数回の内視鏡介入ですべてのポリープを切除することで将来10〜20年の大腸癌死亡を50%も抑制できることが証明された。
つまり、大腸ポリープは、すべて切除するほうがいいのである。
アメリカではすべての腺腫を大きさに関わらずすべて摘除することが推奨されている。
1〜9ミリ以下の腺腫を、2、3年経過観察すると6%が癌化することが報告されており、ポリープは、すべて切除したほうがいいのである。
2017年欧州消化器内視鏡学会のガイドラインでは、微小ポリープはCSPを推奨、1〜3ミリならCFPも勧めている。
また、6〜9ミリの鋸歯状ポリープもCSPが推奨されている。
日本での大腸ポリープの取り扱い
しかし、日本では、微小ポリープは3年間隔でフォローされていることが多いが、何度も大腸内視鏡検査で観察だけで終了しフォローするのは無意味である。
これは、保険負担額が安く、また何回も大腸内視鏡検査をすると医療機関の売り上げが向上することなども、大きく関与していると思われる。
本来なら40歳以上の日本人に対して、1回の検査で大腸ポリープをすべて切除し、その後は10年に1回大腸内視鏡検査を行うことが望ましいが、実際に、やるべき対象者が5000万人いるのに対し、年間行われている大腸内視鏡検査は40万件程度である。
大腸内視鏡検査を行う必要がない患者への検査を極力減らし、やるべき人に大腸内視鏡検査ができるような環境作りが大切である。
コールドスネアポリペクトミーの適応ポリープは?
5ミリ以下の微小ポリープではcold snare polypectomyを推奨している。
coldsnare polypectomyは高い完全摘除率、病理診断に適切な標本採取が採取可能である。
また、海外では、6〜9ミリの病変でも、コールドスネアポリペクトミーでの一括切除が推奨されている。
10ミリ以上はEMR、分割EMR、ESDを含む手技で切除する。
有茎性病変は、EMRが推奨されている。
しかし、通常の観察での陥凹や緊満感や発赤、色素内視鏡によるpit pattern診断、NBI拡大内視鏡検査などで、悪性所見が疑われる場合は、EMRなどの高周波治療を用いる。
過形成性ポリープが疑われる場合の治療方針に関しては決まったものがないが、5ミリ以上は切除したほうが良いと考えられている。
コールドポリペクトミーのメリット
通常のEMRよりも簡便で手技時間が短い
切除後の後出血の頻度が有意に少ない。血液サラサラ飲んでいても特に問題がない。
今までこの手技に関して穿孔例が報告されていない
コールドポリペクトミーの実際
日本消化器内視鏡学会雑誌 Vol. 59(3), Mar. 2017
大腸ポリペクトミー・コールドポリペクトミー・EMR のコツより引用